「変えられないこと」と「選び直せること」を分けて考えてみる
いま、心が重くなるような出来事のまっただ中にいるとき、
人はどうしても自分を責めてしまいます。
「どうして、こんな人生なんだろう」
「もっと違う環境だったら…」
「私がダメだから、こうなったのかな」
そんな思いが、次々と浮かんでくるかもしれません。
でも、少し立ち止まって考えてみてほしいのです。
この状況を“どうにかしようとして苦しんでいる自分に。
どうにもならないことを、無理に変えようとしていませんか?
生まれた家庭、親、顔立ち、過去の選択。
これらは、いまのあなたがどれだけ頑張っても、
「なかったこと」にはできません。
配偶者との関係
親との相性
受験や仕事での失敗
思い描いていた人生とのズレ
それらを前にして、
「もっと違う人生だったらよかったのに」と嘆くのは、
とても自然なことです。
でも同時に、
変えられないものを変えようとするほど、心は消耗していきます。
「あきらめる」は、投げ出すことではありません
ここでいう「あきらめる」とは、
不幸を受け入れることではありません。
- この親のもとに生まれた
- この配偶者と出会った
- この性格、この外見、この過去がある
という事実を、いったんそのまま認めるということです。
「これでちょうどいい」と無理に思い込む必要はありません。
ただ、
「これはもう変えられない前提なんだ」と
静かに線を引くのです。
それだけで、
エネルギーの使い方が変わり始めます。
変えられるのは、「これからの選び方」
どうにもならないことは、いったん横に置く。
そのうえで、こう問いかけてみてください。
- この状況の中で、私はどう在りたい?
- 何をしていると、少し心が軽くなる?
- 正しさではなく、「心が動く方向」はどっち?
外見を整えることかもしれません。
学ぶこと、休むこと、人と距離を取ることかもしれません。
小さな行動でいいのです。
幸せは、「正しい選択」の先にあるとは限りません。
「楽しい」「心がゆるむ」「ホッとする」
その感覚を大切にしていいのです。
つらい出来事が起きたときの、もう一つの問い
どうしてこんなに苦しいのだろう。
なぜ、私はこの状況で立ち止まっているのだろう。
そう感じたときは、
「なぜこんな目にあうのか?」ではなく、
「この経験を通して、
私は何に気づこうとしているんだろう?」
と問いを変えてみてください。
それは答えがすぐ出なくても構いません。
考え続けること自体が、
心の向きを少しずつ変えていきます。
人生は、一本道ではありません
これまで信じてきた生き方が、
「幸せにつながると思っていたけれど、違った」
そう気づくこともあります。
それは失敗ではなく、
軌道修正のサインです。
自分が何にワクワクするのか
何をしていると自然に笑顔になるのか
それを基準に、
少しずつ選び直していけばいい。
人生は、一度決めた通りに
最後まで生きなければならないものではありません。
いまのあなたから、また始められる
変えられないものを抱えたままでも、
人は幸せになる選択を重ねていけます。
いまのあなたで、ここから。
それで十分です。
そして、
「このつらささえも、あとで意味を持つかもしれない」
そう思える日が来たら、
それもまた、あなたの人生の一部なのだと思います。