― 心のベースは、いつつくられたのか ―
胎児の頃から、私たちは「感じている」
私たちが生まれてくる前、
まだお母さんのお腹の中にいる時期にも、
赤ちゃんは周囲の環境やお母さんの心の状態を
感じ取っていると言われています。
言葉で理解するわけではありませんが、
ホルモンの変化や体の緊張を通して、
「安心している」「不安定だ」という雰囲気を
そのまま受け取っているのです。
大人になってから現れる、理由のわからない生きづらさ
その影響は、すぐに表に出るとは限りません。
大人になってから、
- 人との関わりに不安を感じやすい
- 自分に自信が持てない
- 愛されている実感がわからない
- 理由のわからない体調不良が続く
といった形で、
言葉にならない違和感として現れることがあります。
もちろん、
すべてが胎児期の体験だけで決まるわけではありません。
育っていく過程での
親子関係、学校、社会での経験も
大きく影響しています。
ただ、
「お腹の中で感じていた安心感や緊張感が、
その人の心のベースになっている」
という考え方は、
近年、心理の分野でも注目されるようになってきました。
「生まれてきていいのか」という無意識の問い
もし、
お母さんが思いがけない妊娠に戸惑い、
- 産んで育てられるだろうか
- この子を迎えていいのだろうか
そんな不安を抱えながら
あなたをお腹の中で育んでいたとしたら。
胎児だったあなたは、無意識のうちに
- 私は生きていていいのだろうか
- ここにいていい存在なのだろうか
そんな感覚を、
言葉ではなく感覚として受け取っていたかもしれません。
それは決して
「覚えている」という形ではなく、
生き方のクセとして残ります。
現実の人間関係に重なる感覚
大人になった今、
- 話を聞いてもらえない
- 理解されない
- 居場所がない気がする
そんな孤独感を抱えながら
毎日を過ごしていませんか。
それは性格の問題ではなく、
とても早い時期に身についた
心の防衛反応なのかもしれません。
私自身の体験から
私自身、
「産道からなかなか出てこなかった」
「出産にとても時間がかかった」
という話を、あとから聞いたことがあります。
さらに大人になってから、
母は私を産むことに強い葛藤を抱えていたことも
父から聞きました。
きっと胎児だった私は、
両親の会話や母の迷いを感じながら、
お腹の中で静かに息をひそめていたのだと思います。
今の私は、
人から「遠慮がちだね」と言われることがあります。
自分を出すことに慎重で、
いざという時に一歩踏み出すのに
時間がかかる。
その背景に、
こうした体験がつながっている気がしています。
胎児期に戻るイメージ療法という考え方
心のケアのひとつに、
胎児期に戻るイメージ療法があります。
イメージの中で、
お母さんのお腹の中にいる胎児になり、
今の自分だからこそ言える言葉を
そっと伝えてみる。
たとえば、
- 不安にならなくて大丈夫
- 私は自分の力で生きていくよ
- 一緒に新しい世界に行こう
そんな言葉を、
お母さんと胎児の自分に向けて
かけてあげるのです。
妊娠中の方へ
この話を読んで、
「イライラしちゃいけない」
「不安になったら赤ちゃんに悪い」
そう感じてしまった方がいたら、
少しだけ立ち止まってください。
妊娠中は、
ホルモンの影響で
不安や揺れが出て当然です。
「今、私は不安なんだな」
「今、疲れているんだな」
そう気づいてあげるだけで十分です。
完璧である必要はありません。
心のベースは、書き換えられる
私たちは、
どんな状態で生まれてきたとしても、
大人になってから
心の感じ方を見直すことができます。
胎児期の体験は
運命ではなく、
理解することでやわらぐものです。
もし、
理由のわからない生きづらさを
長く抱えているなら。
それは、
あなたが弱いからではありません。
必要だと感じたタイミングで、
話してみるという選択もあります。