無視したら無視されるようになった職場の人間関係

私とペアで作業をしている職場の女性、Aさんが、
仕事を辞めることになりました。

理由はいくつかありますが、
一番大きかったのは人間関係でした。

Aさんは、職場のBさんから
「この作業を代わりにやってほしい」と頼まれたそうです。

自分には時間の余裕がなく、
今回は引き受けられないと断ったところから、
その人との関係がぎくしゃくし始めました。

実は、それが初めてではありませんでした。

これまでも、
「あなたのほうが時間があるでしょう」
「お願いできないかな」
そんなふうに、度々仕事を頼んできたそうです。

断りきれずに引き受けているうちに、
仕事の負担は、少しずつAさんのほうに偏っていきました。

だから今回、Aさんは
初めて「できません」と断ったのです。

頼んできたその人は、いわゆる「任せ上手」なタイプで、
新しく入ってきた人にも次々と仕事を振り、
いつの間にか自分は楽をするようになっている、
とAさんは感じていました。

「ずるい人」
「もう顔も見たくない」

そう感じるようになり、
Aさんはその人を避けるように、
仕事の上がり時間をずらすようになりました。

すると今度は、相手の態度が変わりました。

Bさんも挨拶をしても返してくれなくなった。
しかも、Aさんの姿が見えると、
さっと踵を返して別の部屋に入っていく。

それまで世間話もしていた関係だっただけに、
Aさんは断った自分のことを気に病んでいました。

ペアで作業している私には、
その人の話をしなかった日はありません。

AさんはBさんのことを
「初めて断られたことで、相手が傷ついたのかもしれない」
と悩んでいました。

相手を責める言葉を口にしながら、
同時に、自分のことも責めているようでした。
私は近くで見ていてそう感じていました。

「自分は悪くない」
「困るのはあの人(Bさん)なのに」

そう言いながらも、
心はずっと揺れていたのだと思います。

私は、この出来事に
「どちらが悪い」という答えはないと思っています。

良いか悪いかではなく、
その人のキャパシティを超えていたかどうか
それだけの話なのかもしれません。

夫婦関係でも、同じことがあります。

たとえば不倫のような出来事があっても、
許せる人もいれば、許せない人もいる。

どちらが正しい、ではなく、
その人が「引き受けられるかどうか」の違いです。

話を戻しますね。

体調のこと、年齢のこと、給料のこと。
Aさんが仕事を辞める理由は、いくつもありました。

けれど、人間関係がこじれると、
毎日職場に行くこと自体が、
とても重たいものになります。

「もう嫌だ」と心で線を引いたら、
相手との関係も、本当に切れてしまった。

私はこの出来事を見て、
人はやっぱり「鏡」なのだな、と思いました。

相手に感じる強い怒りや拒否感は、
自分の中にある無理や限界を、
映し出していることもあります。

相手に腹が立つとき、
実は自分自身にも、腹を立てているのかもしれません。

Aさんが辞めることを、
Bさんはまだ知りません。

知ったとき、
何を思うのかは分かりませんが――

辞めることを知ったBさんはどう感じるのでしょう。この出来事は、

無視したら無視されるようになった

被害者意識がいったりきたりして、もうどちらが悪いという話ではなくなっていた。

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