なぜ子どもは不登校になるのか?―心理面からの理解
子どもが不登校になる理由は、「甘えているから」「心が弱いから」ではありません。
多くの場合、心がこれ以上がんばれなくなったサインとして、不登校という形が現れています。
子どもは、大人のように
「つらい」「怖い」「限界だ」
と、言葉で上手に伝えることができません。
言うと、お母さんが悲しむかもれないし
お母さんに嫌われてしまうかも・・と思ってしまって「言えない」のです。
その代わりに、身体や行動でSOSを出します。
学校に行けなくなるという状態は、その一つなのです。
「安心できる場所」だと感じられなくなった
子どもというのは
安心 → 挑戦(自立) → 成長
という流れで大人になっていきます。
ところが学校が
・怒られる場所
・否定される場所
・緊張し続けなければならない場所
・いじめっこがいる
になってしまうと、心は常に防御状態になります。
「ここにいると傷つくかもしれない」
「また失敗するかもしれない」
そう感じる場所には、心も身体も自然と近づけなくなります。
不登校とは自分を守るために「行かない」選択をしただけです。
「がんばりすぎてきた」子ほど起こりやすい
不登校になる子どもの中には、
実はとても我慢強く、いい子が多くいます。
・空気を読む
・親や先生の期待に応えようとする
・弱音を吐かない
そうして長い間がんばってきた結果、
ある日、心のエネルギーが切れてしまうのです。
これは「弱さ」ではなく、
枯渇したエネルギーを充電しようとしている時間なだけです。
「自分はダメだ」という思いが心を縛る
失敗体験が重なったり、
比べられる経験が続いたりすると、子どもの中に
「どうせ自分はできない」
「行っても意味がない」
という感覚が育ってしまいます。
この状態では、
学校へ行く=また傷つく
と無意識に結びついてしまい、足が止まります。
親の子育てのあり方が揺らいでいるのかもしれない
子どもはとても敏感です。
お母さんの家庭の中での緊張、不安やイライラを無意識に感じとっています。
母親のあなたが
「立ち直ってもらわなきゃ」
「しっかり育てなきゃ」
「子どものために頑張らなきゃ」と無意識に思っているのではないでしょうか。
その心は、合わせ鏡のように子どもにも伝わります。
お母さんの日々の不安や緊張、焦りや苛立ちを、子どもがまともに受け取ってしまっているのかもしれません。
子どもが変わる前に、親がやることは、自分の「~ねばならない」という思考をまず、やめることが大事です。
~ねばならないの子育ては、親である自分のためにやっている子育てです。
もしかしたら、「立派な親だと認められたい」「頑張っているねと褒めてもらいたい」
そんな思いがあるのかもしれません。
それをやめて、子どもの心を育む子どものための子育てにシフトチェンジをしましょう。
不登校は「回復期の始まり」
不登校は結果ではなく、人生の中での「状態」です。
たまたま、今はそういう状態であるというだけです。
子どもは立ち止まって心を立て直すための時間です。
まず必要なのは、
「行かせること」よりも
「安心を取り戻すこと」
・話さなくても責められない
・何もできない日があっても受け入れられる
・存在そのものを肯定される
その積み重ねが、
再び外の世界へ向かう力を育てていきます。
子どもは自分を信じてくれている人がいると、
恐れずに、外の世界に足を踏み出すことができます。
そんな力を持っています。
まとめ
不登校は、
この日本だと「問題行動」ととらえられるのがおかしなことです。
日本の学校は、とても「公務員的」な仕組みで成り立っています。
時間割どおりに動き、同じ時間に同じ勉強をし、集団からはみ出さないことが求められる。
それは秩序を守る子になるためには合理的ですが、窮屈に感じる子どももいるでしょう。良い悪いではありませんが、日本の学校は進化していないのです。
不登校になる子には、学校は安心できる場所ではないだけです。
学校に行けないのは「自分を守るための防衛反応」です。
子どもは、ちゃんと自分を守る力を持っています。
大人にできるのは、その力が回復するまで
安全な居場所をつくって待つこと
このスタンスが大事だとおもいます。