年の瀬、夫の実家に帰省するモヤモヤ

お正月の声を聞くと、多くの人が心の奥でこんな不安を抱えています。

「嫁なんだから、夫の実家に帰省するのは当たり前」
「年末年始を夫の実家で過ごさない私は、きっと“悪い嫁”なんだろうな…」

誰かに面と向かって責められたわけじゃない。
でも、行かない選択をした瞬間に――
義両親の顔、親戚の視線、夫の反応まで、頭の中で勝手に再生されてしまう。

「感じが悪いと思われたらどうしよう」
「わがままだと思われるかもしれない」
「ここで行かなかったら、あとが面倒になりそう」

そうやって、
行く・行かないを自分の気持ちで決める前に、
“どう思われるか”で答えを出してきた
人は、少なくありません。

本音ではつらくても、
「お正月くらい我慢しなきゃ」
「嫁なんだから仕方ないよね」
「夫が当たり前のように、今年は何日に行こうか?なんて言われる」
そんな言葉が頭の中でぐるぐる回り、
本当の自分の気持ちを押し込めてきたのです。

コロナを理由に、帰省しなくてよかったあの頃

そんな中で訪れた、先のコロナ禍。

当時は不安も多く、大変な時期でしたが、
正直なところ――
「コロナを理由に帰省しなくていい」
その一点において、ホッとした自分がいた方もいるのではないでしょうか。

誰にも説明しなくていい。
罪悪感を抱かなくていい。
「仕方ないよね」と言える安心感。

年末年始を、自分のペースで過ごせたあの時間に、
心と体がどれほど楽になっていたかを、
あとから実感した人も多いと思います。

「行きたくない」と言えなかった理由

なぜ、あんなにも楽だったのでしょう。

それはきっと、
本当はずっと無理をしていたから。

・行きたくないと言ってはいけない
・嫁なんだから我慢するもの
・波風を立てるくらいなら、自分が我慢しよう

そんな思い込みの中で、
自分の気持ちを後回しにしてきたのかもしれません。

コロナは、その「当たり前」を一度、強制的に止めました。

距離ができて、初めて見えたもの

人と距離ができたことで、
初めて自分の本音が見えた人も多いはずです。

「私は、こんなに気を遣っていたんだ」
「本当は、無理していたんだ」
「この距離感のほうが、私にはちょうどいい」

それに気づけたことは、
決して小さなことではありません。

コロナはもう嫌。でも、気づきは残していい

もちろん、
コロナそのものは、もうこりごりです。

不安や制限、失われた時間。
できれば、なかったことにしたい出来事もたくさんあります。

でも一方で、
「人との距離感を考えるきっかけになった」
それは確かに、私たちに残された大切な学びでした。

すべて元通りに戻さなくていい。
無理をしてまで、以前の形に合わせなくていい。

これからは、
自分が苦しくならない距離感を、
少しずつ選んでいっていいのだと思います。

年末年始、
もしモヤモヤが湧いてきたら――
それは、あなたの心が教えてくれているサインかもしれません。

「ほんとうはどうしたい?」
その問いを、大切にしてあげてくださいね。