欠けた食器を、どうしても捨てない人がいます。
まだ使えるから。
使いやすいから。
気に入っているから。
理由は色々あるけれど、
本当の理由は、物ではなく「記憶」だったりします。
それはただの器ではない
家に戻ってきた息子が、
縁の欠けた丼を持ち帰ってきました。
欠けているなら買い替えたら?
そう言っても、手放しません。
他の物は処分したのに、
なぜかそれだけ残している。
物には、役割以上の意味が宿ることがあります。
一緒に食べた時間。
作ってもらった料理。
暮らしていた空気。
それを手に入れた場所。
器は、その時間の記憶を連れてきます。
人は「便利」だけでは手放さない
合理的に考えれば、
欠けた食器は買い替えればいい。
でも、人は合理性だけでは動きません。
使い勝手でもなく、値段でもなく、
そこに結びついた感情があると、手が止まります。
物を見ているようで、
人は感情を見ています。
思い出は、無理に捨てなくていい
つらい別れや喪失のあと、
人は何かを手元に残します。
写真だったり、
メッセージだったり、
日用品だったり。
それは未練ではなく、
心の回復プロセスです。
無理に切り離そうとすると、
かえって心は固まります。
心の傷は、何度も思い出して癒えていく
忘れたいのに思い出す。
思い出すたびに苦しい。
それは異常ではありません。
心は、何度も思い出しながら、
少しずつ意味づけを変えていきます。
・あの時間は幸せだった
・自分も未熟だった
・あれが当時の最善だった
こう思える日が来たとき、
傷は静かに閉じています。
手放すタイミングは本人が決める
周りから見れば、
「もういいのでは?」と思う物でも、
本人の中では、
まだ役目が終わっていないことがあります。
物を手放すタイミングは、
心が決めます。
それまでは、そっとしておく。
それも一つの優しさです。
物は、心の状態を教えてくれる
捨てられない物があるとき、
責める必要はありません。
そこにどんな記憶があるのか。
どんな気持ちが残っているのか。
物は、心の入口になります。
整えるとは、
無理に減らすことではなく、
気持ちに気づくことなのだと思います。
もしあなたが、
・思い出の物がどうしても手放せない
・捨てられない自分を責めてしまう
・気持ちの整理が追いつかない
・過去の出来事がまだ心に残っている
そんな状態なら、
それは弱さではなく、心が回復しようとしている途中です。
感情や記憶は、順番に整理していくことで、
自然と手放せる時期が来ます。
ひとりで整理が難しいときは、
感情整理カウンセリングで一緒に紐解いていくこともできます。
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