子育てが苦しい理由は「母親はこうあるべき」という思い込み

若い頃、
「しつけをしない母親」を見て、
心の中で腹が立ったことはありませんでしたか?

たとえば――
電車の中で子どもが大声で騒いでいるのに、注意しない母親。

スーパーで「お菓子を買って!」と駄々をこねる子どもを、
叩いて黙らせようとする親。

レストランで食べ散らかしても叱らない、
通りすがりの大人に失礼なことを言っても、何も言わない。

そんな場面を見て、若い頃のあなたは
こんなふうに思ったことはありませんか?

「私だったら、もっと上手に子育てするのに」
「もっと優しく、ちゃんと話してあげるわ」
「子どもの目線までしゃがんで、目を見て伝えるのに」

……私は、ありました。

若い頃は
「こんなガミガミ怒る親にはなりたくないな」
「私はきっと、ならない」
そう思っていました。

でも、いざ自分の子育てが始まると、
この“思い込み”が、じわじわと苦しさに変わっていたのです。

それは、
「普通はこう育てるよね」
「母親なら、こうあるべき」
という理想の母親像を、知らないうちに自分にあてはめていたのです。

そして、
その理想通りにできていない自分を見つけるたびに、
「私はダメな母親だ」と、自分を責めていました。


子どもの頃につくった理想像を今の子育てにあてはめている

一度、思い出してみてください。

あなたの中にある
「母親とは、こうあるべき」
「親なんだから、こうしなきゃ」
という記憶は、どこから来たものでしょうか。

多くの場合、
それは子どもの頃の自分の親だったり、
学校の先生や、周囲の大人の姿から
無意識に刷り込まれたものです。

たとえば――
・お母さんは仕事で帰りが遅く、いつも疲れていた
・帰ってきてもイライラしていた
・ご飯はお惣菜が多かった

こんな記憶が心の奥に残っていると、
今のあなたはどんなに疲れていても、
「私はちゃんと手料理をしなきゃ」
と、自分を追い込んでしまうことがあります。


見方を変えると、心がふっと緩む

もし、若い頃に見た
「しつけのできていない母親」
「家事を手抜きしているように見えた母親」
「忙しいと言って、遊んでくれなかった母親」
の記憶があるなら――

こんなふうに、見方を変えてみてください。

「あの人も、悩みながら子育てしていたのかもしれない」
「疲れていたけれど、それでも毎日を回していたんだ」
「今の私と、同じだったのかもしれない」

そう思えたとき、
「ダメな母親だ」というレッテルが、
少しずつ外れて
「みんな悩みながら、子どもを育てているのだろう」
とやさしい目線が生まれます。


小さなワーク

過去に
「この人、母親失格だな」と感じた場面を、
イメージで思い出してみてください。

そのお母さんに向かって、
声に出して(つぶやくだけでも大丈夫です)

「毎日頑張っているよね」
「えらいね」

そう声をかけてみてください。

不思議ですが、
それは同時に、今の自分を労うことにもつながります。


過去につくられた親としての理想像が、
今のあなたを苦しめているだけかもしれません。

それに気づくだけで、
子育ては、少しだけラクになります。


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