尽くしすぎるのは、やさしさだけが理由じゃない
職場で、こんな話を聞きました。
Aさんは、Bさんに頼まれると
いつも快く引き受けてきたそうです。
仕事を代わりにやったり、
重い荷物を運ってあげたり、
スマホの操作を教えてあげたり。
「それくらいなら大丈夫」
そんな気持ちで、特別なことをしている意識はありませんでした。
いつの間にかできていた、心のすれ違い
Aさんは、
Bさんに頼られるうちに、
無意識のどこかでこう感じていたのかもしれません。
「私は必要とされている」
「役に立っている」
一方のBさんは、
Aさんがやってくれることを
“当たり前”として受け取るようになっていました。
この時点では、
どちらも悪気はありません。
「できません」と言った、その日から
ある日、Aさんは
「今回はできない」と、初めて断りました。
するとBさんは、
それまでとは態度が変わり、
挨拶をしても無視するようになったそうです。
Aさんは戸惑い、
「断った自分が悪かったのでは」と
後悔していました。
でも、少し距離ができたあと、
Bさんはその仕事を
自分でやるようになったそうです。
尽くしすぎる関係は、親子関係にも似ている
この話は、
親子関係に置き換えると、
とてもわかりやすくなります。
小さい子どもは、
親が何でもやってくれると思っています。
でも成長すれば、
「自分のことは自分でやろうね」と
少しずつ手を離しますよね。
それと同じで、
Aさんはある時点で
「ここから先は無理だ」と
自分の限界に気づいたのです。
尽くしすぎてしまう人の心のしくみ
尽くしすぎる人は、
やさしい人が多いです。
でもそれだけではありません。
・断ると嫌われそう
・役に立たないと価値がない気がする
・関係が壊れるのが怖い
そんな思いが、
無意識に働いていることもあります。
だから
「もう無理」と言えたことは、
冷たい行為ではなく、
自分を守る大切な一歩です。
距離ができて、初めて健全になる関係もある
AさんとBさんは、
今は以前より距離があります。
でもそれは、
関係が壊れたのではなく、
近すぎた距離が、適切な位置に戻った
とも言えます。
人は、
誰かにやってもらえなくなったとき、
初めて自分の力を使います。
尽くしすぎるのは、
やさしさだけの問題ではありません。
「嫌われたくない」
「必要とされたい」
そんな心の動きが、
関係を歪めてしまうこともあります。
断ったことで壊れる関係なら、
それは、
もともと無理をして保っていた関係だったのかもしれません。
▶︎ 親との関係が、今の現実をつくっている―「私ばっかり大変…」と感じる理由
尽くしてきたのに、
断った途端に関係が壊れてしまった。
そんな経験があると、
「私の言い方が悪かったのかな」
「やっぱり我慢すべきだったのかな」
と、自分を責めてしまいやすくなります。
でもそれは、
やさしさや我慢が当たり前になっていた
心のしくみが関係していることもあります。
もし今、
人との距離感や関わり方に
迷いがあるなら、
一人で抱えなくても大丈夫です。
今の状況を、静かに整理する時間も用意しています。