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片付けられないのは、傷ついた心が残っているから
今回は「ものを片づけられない」「家の中が散らかっている」いわゆる汚部屋、汚部屋になりつつある、と悩んでいる方に、心のしくみを知って直していこうという、おはなしをしたいと思います。
散らかった部屋を見るたびに「どうしてこんなに片づけができないんだろう?」と思うことはありませんか?
あなたがダメなのではありませんよ。どうしても行動に移せない、心にブレーキがかかっている状態なだけなんです。
「怠けている」や「時間がない」だけではなく、もっと深い心理的な背景が関係していることがよくあります。特に、子供の頃のトラウマや、モノを大切にしなければならないという思い込みが、大人になってからの片づけの習慣に強く影響を与えることがあるのです。
子供の頃のトラウマと片づけの関係
まず、幼少期の経験が片づけに影響しているという、おはなしをします。
子供時代に家庭環境が不安定だったり、厳しい親の元で育ったりした場合、その記憶が大人になっても残り、片づけに対する心理的ブロックとなることがあります。
どういうことかというと、幼い頃に「片づけなさい」と親から厳しく叱られた経験がある人は、片づけに対して無意識に「嫌な感情」を持つようになることがあるのです。このような経験は、片づけが「楽しいもの」ではなく「嫌なもの」だという認識を強化してしまうのです。
例えば、せっかくつくった積み木のお城を、もうすぐごはんだからと壊して片づけさせられた。せっかく頑張ってつくったものを親から強制的に壊された、壊すように命令されたと思ってしまうのです。
また、親から大切にしていたものを勝手に捨てられた経験があると、「もう二度と大切なものを失いたくない」という強い思いが根付き、モノを手放せなくなることがあります。
こうした幼少期のトラウマが、意識的であれ無意識的であれ、片づけを妨げる原因になっていることがあります。大人になった今、その当時の経験があなたの行動や思考にどのように影響を与えているのか、まずは振り返ることが大切です。
モノへの執着と「安心感」への依存
次に、「モノへの執着」する、についてです。私たちは、モノを持っていることで安心感を得ることが多いです。乳幼児が、毛布の縁を加えていないと眠れないとか、お気に入りのぬいぐるみをずっと抱っこしているなど、特に、幼少期に安心できる場所が少なかったり、変化の多い環境で育った場合、物理的なモノに囲まれていることで心の安定を感じることができます。これは、家族との関係や人の出入りが多い家庭などで、子供がおちつかないなど、心の安定をモノに求めていることがあります。
モノに囲まれていることは、物理的な充足感を超えて、精神的な安らぎを提供します。例えば、昔から持っているぬいぐるみや本などが捨てられないという人も多いのではないでしょうか。それは単に物自体の価値ではなく、そのモノが「自分にとって安全なもの」という感覚を覚えているからです。大事だから捨てられない、となります。片づけることが「安心感を失うこと」として感じられ、片づけることができなくなるのです。頭では思っていても体が動かないのです。
モノに心を支配されてしまうケース
モノへの執着は、気づかないうちに自分の心を支配してしまうこともあります。多くの人は、「このアイテムはいつか使うかもしれない」「捨てたら後悔するかもしれない」と考え、モノを手放すことを避ける傾向があります。しかし、この考え方が強くなりすぎると、物理的なモノが心の負担になり、生活空間を圧迫していきます。
一つ一つのモノに過剰な意味を与えたり、捨てることが「自分の一部を失う」ように感じられたりする場合、それは実際にモノがあなたを支配している状態です。この心理状態は、片づけをより難しくします。物が増えるたびに、自分が支配されているような感覚に陥り、心の自由が失われてしまうのです。
同じようなモノを買ってしまう、そして捨てられないとなると、自らモノに縛られた窮屈な生活を求めている、とも考えられます。
心の整理から始める片づけ
モノによって、それだけ自分の心は支配されてきた、と思い直すことです。私は人は鏡だとお伝えしていますが、モノも鏡です。あなたが思考したから、あなたの側にいるのです。
あなたがお店で「これが欲しい」「これを家につれて帰りたいと」思ったから、モノがあなたの家の中にやってきました。ネットでポチッとボタンを押したから、配達されてきました。モノはあなたが、欲しい、とお金を払わないとやってきません。だれかからモノをプレゼントされて、うけとったり、家族が買ってきたりもらってこなければ、モノには意思はありませんから、人の思考がモノを存在させているのです。
具体的なステップとしては、以下のことが有効です。
自己分析を行う
自分が片づけられない理由について、深く考えてみましょう。子供の頃の経験や、特定のモノに対する強い感情があるかもしれません。これに気づくだけでも、大きな前進です。
モノとの感情的なつながりを理解する
持っているモノが自分にとってどんな意味を持っているのか、一つ一つ確認しましょう。「このモノは本当に私に必要か?」と自問することが大切です。
少しずつ進める
全てを一度に片づける必要はありません。片づけを「小さなタスク」に分けて、一度に1つずつ片づけていきましょう。たとえ5分でもいいので、始めることで「片づけること」が少しずつ習慣になっていきます。
**まとめ**
片づけられない原因は、私たちが考えている以上に深いものです。幼少期のトラウマやモノに対する無意識の執着が、片づけを妨げる大きな要因となっていることがあります。しかし、そのことに気づき、少しずつ向き合っていくことで、心と部屋の両方をスッキリと片づけることができるようになります。
片づけは単なる物理的な行動ではなく、心の整理にもつながります。焦らず、自分のペースで進めていきましょう。
※YouTubeで、同じ内容ですがナレーションしています。こちらもお聴きくださるとうれしいです。