ニートも家庭の中で役割を担っている|心理から見る家族のバランス

集団は、無意識に「役割のバランス」を取ろうとします

家庭でも、会社でも、学校のクラスでも。
人が集まるところでは、不思議と役割のバランスが生まれています。

たとえば、クラスに学級委員が一人いるとします。
学級委員は、リーダーシップをとり、クラスをまとめる役割です。

一方で、
前に出るのが苦手で、自己主張をせず、
「ついていくだけ」の生徒も必ずいます。

また、その時の空気次第で態度を変える
いわゆる“日和見”の立ち位置の人もいます。

強すぎる人がいると、弱い役割が生まれる

学級委員がとても強く、何でも一人で決めてしまうタイプだと、
周囲は次第に考えることや動くことをやめていきます。

逆に、学級委員が引っ込み思案で優柔不断すぎると、
今度はクラスがまとまらなくなります。

つまり、
一人が強く出すぎても、弱すぎても、集団は不安定になる
ということです。

家庭内でも、同じことが起きています

これは家庭の中でも同じです。

誰かが
・責任を取りすぎる
・我慢しすぎる
・頑張りすぎる

と、その分、
誰かが
・動かなくなる
・依存する
・責任を持たなくなる

という役割を無意識に引き受けてしまいます。

よく「ニートのいる家庭」や
「何もしない夫・子ども」が問題にされますが、
心理的に見ると、そこには
誰かが背負いすぎている構造があることが少なくありません。

問題は「性格」ではなく「バランス」

ここで大切なのは、
誰が悪い、誰が怠けている、という話ではないということです。

集団のエネルギーは一定なので、
誰かが極端に頑張れば、
誰かが極端に頑張らなくなる。

これは
卵が先か、鶏が先か
のようなもので、
同時に起きている現象とも言えます。

バランスが変わると、役割も変わる

もし家庭の中で
「私ばかりが責任を負っている」
「私が動かないと回らない」
と感じているなら、

まず見直すべきなのは
「相手を変えること」ではなく、
自分が背負いすぎていないかです。

少しずつ役割やエネルギーが動き始めると、
相手の態度や行動も、時間をかけて変わっていきます。

性格が変わるというより、
その人が担っていた役割が変わるのです。


【追記】この構造は、モラハラ関係にもそのまま当てはまります

ここまで読んで、
「クラスの話」「家庭の役割分担の話」としては分かるけれど、
モラハラとどう関係するの?
と思われた方もいるかもしれません。

実は、モラハラ関係も、
今お話ししてきた「バランスの構造」の中で起きています。

モラハラ夫は、
・正しさを握る
・決定権を持つ
・評価する立場に立つ

という「強い役割」を引き受けています。

一方で、
パートナーであるあなたは、
・空気を読む
・衝突を避ける
・我慢する
・相手を優先する

という「弱い役割」を無意識に担うことになります。

これは、
あなたが弱いからでも、
相手が最初から悪人だったからでもありません。

関係の中で、そういう役割分担が固定されてしまった
ということなのです。

そして、
あなたが我慢すればするほど、
責任を引き受ければ引き受けるほど、
相手はますます強くなり、支配的になります。

これは、
「強い人がいるから弱い人が生まれる」
「弱い人がいるから強い人が固定される」
という、双方向の関係です。

だからこそ、
モラハラ関係を変えたいとき、
いきなり相手を変えようとしても、うまくいきません。

まず必要なのは、
あなた自身が背負いすぎてきた役割に気づくことです。

少しずつでも、
「私が全部引き受けなくてもいい」
「私の気持ちもここにあっていい」
そう思えるようになると、
関係のエネルギーは確実に動き始めます。

役割が変われば、
態度が変わり、
関係の形も変わっていきます。

これは理想論ではなく、
カウンセリングを受けられた方が
日常に戻られた中で
日々を暮らしていくうちに
起る現実なのです。