人間関係の悩み|過去の出来事を客観的に見つめる勇気

ペアで仕事をしている同僚Aさんが、
同じ職場のBさんから、ある日を境に無視されるようになりました。

Aさんはとても悩み、
最終的に「この職場を去る」という決断をしました。

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Aさんは、Bさんだけでなく、直属の上司とも折り合いがよくありませんでした。
話を聞く限りでは、その上司は仕事ができず、人の気持ちも汲み取れないタイプのようです。

実際に、
「あなたが辞めても、誰も困らない」
というような言葉を、Aさんに向けて口にしたこともあったそうです。

けれども、別のルートから聞いた話では、
人手不足で求人を出してもなかなか人が来ない職種のため、
本当はAさんが辞めることで困る立場にあるのだとか。

強がりや、あまのじゃくな態度だったのかもしれません。

ただ、ここで一つはっきりしていることがあります。

無視をするBさんも、
あまのじゃくな上司も、
**私にとっては「自分以外の人の話」**なのです。

私自身は、上司から嫌味を言われたこともなければ、
Bさんから無視をされたこともありません。

Aさんは、仕事を辞めるほど深く傷ついています。
その気持ちは、想像に難くありません。

けれど、だからといって
私は過剰にAさんの味方をすることはしませんでした。

私が上司の悪口にも、Bさんの悪口にも乗らないため、
Aさんにはどこか物足りなさがあったのかもしれません。

日が経つにつれて、
作業中に聞こえてくるBさんへの悪口は、次第にエスカレートしていきました。

私は、愚痴や悪口が始まると、
その場を離れたり、作業に集中して聞こえていないようにしたり、
話題を変えたりするようにしていました。

愚痴や悪口というのは、
「どれだけ自分は悪くないか」
「自分が正しいとわかってほしい」
その気持ちを、必死に訴えている行為でもあります。

被害者意識が強くなると、
どうしても視野は狭くなってしまいます。

もちろん、Aさんに面と向かって
こうしたことを伝えることはしていません。

ただ、Aさんの様子を見ながら、私は心の中でこう思っていました。

「自分だけが無視される」
「自分だけが嫌味を言われる」

もしそう感じる出来事が続くのなら、
もしかしたら――

・他の人とは違う関わり方をしていたのかもしれない
・知らないうちに、誰かを傷つけてしまったことがあったのかもしれない

そうやって、一度立ち止まり、
自分を客観的に見てみる視点も必要なのではないか、と。

無視をするという行為は、
相手を「いないもの」として扱うことです。

Bさんは、Aさんを自分の視界から消そうとしていました。
それは、される側にとって、本当に苦しく、つらいことです。

この出来事が、Aさんの退職を決断する大きなきっかけになったのは、
間違いないでしょう。

ただし――
本当の理由は、もっと別のところにあるようにも感じています。


被害者意識が強くなると、
人は「わかってほしい」「認めてほしい」という思いでいっぱいになります。

その気持ちは自然なものです。
けれど同時に、
自分がどんな関わり方をしてきたのかを振り返る余裕を失わせてしまうこともあります。

「私は何も悪くない」
「相手が一方的にひどい」

そう思いたくなるほど、心が追い込まれているのかもしれません。

ただ、大人の人間関係では、
完全な被害者と完全な加害者に分かれることは、実はあまり多くありません。

無意識の距離の詰め方
期待のかけすぎ
頼られたい気持ち
わかってもらえない怒り

そうした小さな積み重ねが、
相手との関係を、少しずつ歪ませていくこともあります。

それを認めることは、
自分を責めることではありません。

「次は同じ場所に立たないための視点」を
自分に渡してあげる、ということなのだと思います。


人間関係で同じことで悩み続けている方へ。

起きている出来事を通して、
自分の心の反応や思考のクセを見つめ直すことで、
人間関係は少しずつ変わっていきます。