すでにその親がモラハラだった可能性
「そんな言い方しなくても」
「自分の事は棚にあげて、私ばかり責められる」
モラハラに悩む方の多くが、最初は
「夫の性格」「私の我慢が足りない」
そう思ってしまいます。
けれど、心理の視点から見ていくと
もっと根っこの部分に、共通した原因が見えてきます。
それが
「すでに、その親がモラハラだった」というケースです。
モラハラは「学習」されて育つ
モラハラ夫の多くは、
「意地悪をしよう」「支配しよう」と思って
そうなっているわけではありません。
モラハラ夫は幼い頃から、
それが当たり前の人間関係として育ってきたのです。
たとえば、こんな家庭環境です。
- 父親(または母親)が、怒鳴る・否定する・見下す
- 家庭内に「上下関係」がはっきり存在する
- 子どもは親の機嫌を常にうかがっていた
- 逆らうと無視、説教、暴力が待っていた
この環境の中で育つと、
子どもは無意識にこう学びます。
「人は、力でコントロールするもの」
「感情は、相手にぶつけていい」
「弱い立場の人間が我慢する」
これが、モラハラの原型になります。
親の姿を、そのまま「再現」しているだけ
大人になった彼らは、
自分が親と同じことをしているとは気づいていません。
あたりまえになりすぎているんです。
けれど、よく見ると――
- 口調が親そっくり
- 怒るポイントが親と同じ
- 「お前が悪い」という「自分は正義」論
- 話し合いが成立しない
まるで、親のコピーのような振る舞いをします。
子どもの頃、親とはずっと一緒にいる存在。
影響を受けないわけはありません。
人は、幼少期に一番身近だった大人の関わり方を、
無意識のうちに「正解」としてインストールしてしまうのです。
本人も「被害者」であることが多い
ここで大切なことがあります。
モラハラ夫は、
かつて「モラハラ家庭で育った子ども」であることが非常に多い、
という事実です。
- 感情を抑え込まれて育った
- 認めてもらえなかった
- 怒りを出す場所がなかった
その未処理の感情が、
一番近い存在――「妻」に向かって噴き出しているのです。
もちろん、
だからといってモラハラが許されるわけではありません。
でも、
「なぜ起きているのか」を理解しない限り、
表面的な対処では何も変わらないのです。
妻が無意識に巻き込まれてしまう理由
そして、ここで多くの方が
もう一つ苦しくなります。
「結婚前は気づかなかった」
「私が我慢すればいいの?」
いいえ、違います。
実は、
モラハラ夫に選ばれやすい側にも、共通点があります。
それは――
「子どもの頃から、感情を抑えてきた人」。
・親に気を遣ってきた
・我慢が当たり前だった
・空気を読むのが得意
こうした方は、
無意識に慣れた関係性を再現してしまいます。
これは「投影」と「再現」の心理です。
問題は「相手」だけではなく「関係性」
モラハラ問題は、
「誰が悪いか」を決める話ではありません。
どんな心の仕組みが、今の関係を作っているのか
そこに気づくことが、回復の第一歩です。
- なぜ私はこの関係を続けてしまうのか
- なぜ相手は変わらないのか
- 私の中の「慣れ」はどこから来たのか
ここを丁寧に見ていくことで、
「我慢する人生」から抜け出す道が見えてきます。
最後に
モラハラは、
一代で突然生まれるものではありません。
多くの場合、
親から子へ、無意識のまま受け継がれてきた心のクセです。
だからこそ、
気づいた人のところで、
この連鎖は終わらせることができます。
あなたが悪いわけでも、
我慢が足りないわけでもありません。
知らなかっただけなのです。
以前作ったナレーション動画「もらはら夫の裏側」です。編集未熟で観にくいですが、よければ視聴してください。